令和6年4月1日より、相続登記が義務化されました。
これまで、不動産の相続を受けても「手続きが面倒くさい」を理由に、相続登記をしていなかった方もいらっしゃるかと思います。
しかし、この義務化により、放置していると罰則が発生してしまう危険性があります。「知らなかった」では済まされなくなったということを、本コラムをご一読いただき認識していただければ幸いです!
◆相続登記とは?
亡くなった人(被相続人)から不動産を相続した際に、名義人を相続人に変更する手続きのことを指します。
4月1日以前は、この相続登記は義務ではありませんでしたので、手続きをしなくてもとくに罰則はありませんでした。
しかし、義務化されたことで、決められた期間内に手続きをしない場合に、罰則を受ける可能性がありますので、ご注意ください。
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【期限】相続の開始、及び所有権を取得したと知った日から3年以内。
【罰則】10万円以下の過料。
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※期限として”所有権を取得したと知った日から3年以内”とありますが、過去の相続も対象となります。相続登記義務化以前の相続については、施工日(令和6年4月1日)から3年以内の手続きが義務化されていますので、既に不動産の相続を受けている方は令和9年までに手続きを済ませなければ過料となります。
◆相続登記が義務化された背景は?
”所有者不明の土地や建物が増えたこと”です。
近年メディアでも多く取り上げられるようになった”空き家問題”も、所有者不明の土地や建物が増えたことで発生した問題です。
この問題を少しでも減らそうと、空家の売却時における特例措置として「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」が令和9年12月31日まで適用となります。
この制度については次回のコラムで詳しく解説していきます。
◆相続登記により所有することになった売れない不動産はどうすればいい?
不動産の相続を受け、スムーズに売却できれば良いですが、そうはならない不動産も多くあるかと思います。
そんなときの選択肢としては次の3つになります。
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①自らが居住する
②相続土地国庫帰属制度を利用する
③相続放棄をする
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①自らが居住する
→今現在、賃貸住宅に住んでいる方や、住み替えを検討されている方であれば、そのまま自分が住むという選択肢がうまれます。
不動産の購入時にかかる諸費用(仲介手数料など)がかからないだけではなく、自治体によってはリフォームや耐震性能の向上にかかる費用の助成金の利用ができ、費用負担を抑えられる点がメリットになります。
ちなみに当社のある標津町には中古住宅のリフォームに関する助成金制度があります。
②相続土地国庫帰属制度を利用する
→相続などによって取得した土地を、国に引き取ってもらう制度です。
しかし、引き取ってもらうにはいくつかの条件を満たす必要があり、費用もかかる為、誰にでも適している方法ではありません。
③相続放棄をする
→相続の発生を知ってから3ヶ月以内であれば、相続放棄が可能です。
ただし、相続放棄をすると不動産だけではなく、他の財産も放棄することになりますので、プラスの財産が多い場合には、②の方法を利用することで、結果的に自分の手元にお金を残すことができる可能性もあります。
プラスとマイナス、どちらの財産が多いのかをしっかりと把握してから検討しましょう。
◆売れない不動産を相続したときの窓口は?
身近なところでいえば「不動産会社」「不動産買取業者」「市役所(町役場)」が挙げられます。
登記手続きを進めてくれる「司法書士」に相談されるのもおすすめです。ご自身が不動産会社と付き合いがなくても、司法書士が紹介してくれることもあります。
◆相続をする・相続放棄をする。どちらにしても早めの行動を!!
これから相続を受ける方はもちろんですが、とくに注意するのは過去に相続を受けた方です。
過去に受けた場合でも、相続登記は義務化されていますから、早めに行動しましょう!
どんな不動産でも、所有している限り固定資産税や管理費用が発生します。少しでもお金をかけたくないという方が多いと思いますので、先述した窓口に相談することから始めましょう。